「すべては、この音色を護りぬくため。ほんとうに大切なもののためなら、どこへなりとも身を寄せます。たとえそれが、消えぬ罪の痕跡となって残ろうとも」
Bechstein
誕生日/1853年10月1日 身長/183cm
好きな食べ物/カリーヴルスト、アイスバイン、スンドゥブチゲ
スタインウェイやブリュートナーと同じ1853年生まれ。生粋のベルリンっ子で都会派。しっとりとした美しい音色とまるい響き、それでいて華やかさも併せ持つピアノで世界中にその名を轟かせている。かつては電子楽器「ネオ・ベヒシュタイン」などの先進的な試みでも知られていたが、一族のお家騒動や、ナチ党への関与、第二次大戦の被害で壊滅的な打撃を受け、その後米軍の管理下に置かれたあとアメリカのピアノメーカー「ボールドウィン」に買われるなど波乱の道を辿った。20世紀末に悲願の上場を果たしたものの、2002年には韓国のピアノメーカー「三益楽器」に買われてしまう。2009年に資本提携を解消し、現在は自己資本比率91%まで持ち直した。2016年11月には非上場となると発表されている。
運命に翻弄されながらも凛としてピアノの音を守り続けるその姿ははかなげで、誰しもが見とれてため息をつく美しさだが、その体はしっかりとした骨格と強い筋肉に支えられ、決して華奢ではない。つややかでさらさらのプラチナブロンドの髪に白い膚で、まるで彫刻が生きて動いているようですらある。
その経験と深い叡智に裏付けされた淡々と語る言葉は鋭く、ときに刃物のように鋭利だ。誰にでも優しく振る舞うが、誰にも心を開かない。ただ彼のピアノの前に座る者だけが、鍵盤を通してその心に触れることができるという。
・当時の一族経営者ヘレーネ・ベヒシュタインが悪名高きヴィニフレート・ヴァーグナーとつながりがあったためか、ナチ党への多額の資金供与を行い、そのためか敗戦後すぐに設備と経営を米軍に接収された。
・資本が揺れ動いたからか、世界中どこの食べ物でも美味しく食べる派だ。かつての筆頭株主「三益楽器」が2014年から2015年にかけて行った河合楽器製作所の市場株式大量買付に対しては、冷ややかな目線を送りつつ放置モードの様子。
・戦後すぐの頃、ブリュートナーと設備を共同使用していたことがあると記す書物もあるが、それが果たしてベルリンなのかライプツィヒなのかは不明。
・最近はカシオに絆され電子ピアノを共同開発。「C.BECHSTEIN」の銘を使うことを許した。