クララ・シューマンに選ばれたドイツの老舗。

「──乗り気でないのですか? 良いですよ、でも、四小節でいいから、弾いてみませんか。……わたしは、必ず、あなたの心を掴んでみせましょう」

Grotrian

誕生日/1835年(詳細不明) 身長/180cm

好きな食べ物/ブリヌイ、野菜スープ

 


 

 スタインウェイの双子の兄。モスクワで事業を立ち上げて人脈を積み、ブラウンシュヴァイクに戻ってスタインウェイと共にピアノ工房を作った。その後スタインウェイが新大陸に渡って株式を譲渡してからは、ひとりで静かにピアノを作り続けている。芯のある鳴りとまろやかで叙情的な響きは、弟と似た気配を漂わせながら、派手過ぎずきらびやか過ぎず、優しくしっとりとした質感を持っている。

 

 かつて歴史的ピアニスト、クララ・シューマンと劇的な出会いをし、彼女の生涯を通じて仕え続けた。どこへ行くにも付き従って、彼女の演奏活動を支え続けたという。第二次大戦ではドイツの他メーカー同様甚大な被害を受けたが、創業以来ブラウンシュヴァイクで一族経営を続けている安定感がある。

 

 弟スタインウェイとほぼ同じ顔をしているが、弟よりも表情がやさしく、また体格は細くて背も高い。見た目で比較して細く頼りなく見えることもあるが、心身共に強靱さでは負けてはいない。物静かな読書家で、丁寧な言葉づかいで語る。

 

 「良い楽器を作っていれば、結果は後からついてくる」が口癖。どこか楽天的なようでいて、それでいて真摯な姿勢を保っている。

 

 

・誰にでも敬語で静かに語りかける紳士だが、双子の弟スタインウェイにだけはくだけた口調で多少乱暴な口をきく。

 

・兄弟喧嘩は熾烈。グロトリアンが社名を「グロトリアン・シュタインヴェーク」としたときには、シュタインヴェークの名を争って法廷バトルに発展した。現在はドイツ国内製品では「グロトリアン・シュタインヴェーク」、輸出ピアノの銘は「グロトリアン」とすることで決着をみている。